Entries from 2021-08-01 to 1 month

『オールド』『ジェット・ブレイク』『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

M・ナイト・シャマラン監督『オールド』(2021) シンプルながら、興味をひく設定。人の一生を2時間弱で描く映画の性質ともリンクしている。 謎の解明を曖昧にせず、はっきり提示する。 108分というジャンル映画としてちょうどいい尺。 カメラの思い…

『独立愚連隊西へ』『EXIT』

岡本喜八監督『独立愚連隊西へ』(1960) 佐藤允の笑顔に癒やされる。 中国兵が見逃すところ、中国の戦災孤児が駆け寄るところが特に好き。 イ・サングン監督『EXIT』(2019) 「テロによって有毒ガスが地上に充満し、上へ逃げるしかない」という設…

『ロッジ -白い惨劇-』

ヴェロニカ・フランツ、セヴリン・フィアラ監督『ロッジ -白い惨劇-』(2020) 『グッドナイト・マミー』の監督コンビによる新作。 日本劇場未公開。 室内でグループショットを撮る際に広角レンズを多用している。壁や天井に囲まれた印象が強くなり、息…

『整形水』『ホワット・イフ...?』E3

チョ・ギョンフン監督『整形水』(2020) オーソドックスな設定だが、展開が早くて面白かった。両親が犠牲になるところは笑った。 整形行為が粘土造形のようで、皮膚感覚を刺激される気持ち悪さがある。 リアルな造形のやや違和感のある動きが、内容にマ…

『懲罰大陸☆USA』『ザ・スイッチ』

ピーター・ワトキンズ監督『懲罰大陸☆USA』(1971) ディストピア人間狩りモキュメンタリー。 懲役刑を免れる「懲罰パーク」行きという選択肢がある。3日間かけて、アメリカ国旗まで歩く。警官に捕まったら、その場で処刑。 「シカゴ・セブン」からの影…

『驟雨』

成瀬巳喜男監督『驟雨』(1956) 現代の感覚で観ると、夫の妻に対する応じ方がだいぶ酷く感じる。 妻と姪が盛り上がると、夫は反対意見をわざわざ述べる。一方で自分の話は聞くように求める。自分勝手であることに無自覚。 串カツ屋で始めようと夫の同僚…

『流れよ我が涙、と警官は言った』

フィリップ・k・ディック『流れよ我が涙、と警官は言った』

『オキュラス/怨霊鏡』

マイク・フラナガン監督『オキュラス/怨霊鏡』(2014) 過去と現在が同時並行で描かれる。同サイズや同アングルで過去と現在を繋ぐ。時空を越えたような感覚。同じことが繰り返されてしまう結末を暗示している。 幻覚の描き方が巧い。リンゴをかじった…

『流れる』『パルプ・フィクション』

成瀬巳喜男監督『流れる』(1956) 花柳界に生きる女性たちの物語。だが、華やかな場面は一切ない。金に困っている様子がひたすら描かれる。金策を講じてようとして、失敗する。 恋愛の話題は登場するが、絵には映らない。2階に上がるのは、金を払えと…

『スイートガール』

ブライアン・アンドリュー・メンドーサ監督『スイートガール』(2021) 危険な復讐にお父さんが娘をなぜ巻き込んでしまうのか、疑問に感じていた。娘がトレーニング場面で狂気じみた表情を見せていたので、娘が復讐してしまい、お父さんが守るために逃げ…

『1984』

マイケル・ラドフォード監督『1984』(1984) ジョージ・オーウェルの同名小説を、題名通りの1984年に撮影・公開した作品。 寒々しいルック。ジュリアと愛をかわす場所は太陽の陽が差す、自然のなか。 政府が改ざんしていることが描かれているので、…

『ザ・スーサイド・スクワッド』『ディスコード』『ホワット・イフ...?』E2

ジェームズ・ガン監督『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021) 『スリザー』『スーパー!』路線のヒーロー映画。やりたいことをフルスイングでぶつけている感触があり、心地良い。 毒っ気はかなり強い。 笑っちゃうくらい命が軽く捨てら…

『生きのびるために(ブレッドウィナー)』

ノラ・トゥミー監督『生きのびるために(ブレッドウィナー)』(2017) タリバン政権下のアフガニスタン。 女性は一人で出歩くことが出来ない。父親が不当に逮捕されてしまったために、一家は買い物するだできなくなる。 そこで少女は髪を切り、少年に成…

『近松物語』

溝口健二監督『近松物語』(1954) アンジャッシュ的なすれ違い構造。 以春が茂兵衛に激昂し、おさんが宥める。カメラは引き画で、全体を収める。そこへお玉がやってきて、嘘を言う。それは茂兵衛を守るためであり、おさんへの感謝であり、セクハラをす…

『山椒大夫』『ザ・ハント』

溝口健二監督『山椒大夫』(1954) 離別した母の生存を知るきっかけは、子守歌。親しか知らない本名を歌っていた。 両親への再会を諦めたいた男が思い直す。離別した日に行っていたアクションを偶然繰り返したことがきっかけとなる。 救いを求める男の横…

『ビール・ストリートの恋人たち』

バリー・ジェンキンズ監督『ビール・ストリートの恋人たち』(2018) 時制を行き来しつつ、詩的なモノローグと共に語るストーリーテイリング。 面会場面では、俳優がカメラと正体して語りかける。 レジーナ・キングの安心感。

『夜の向こうの蛹たち』『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』『女の中にいる他人』

近藤史恵『夜の向こうの蛹たち』 主人公の前に自分を偽る女性と寄生する女性が現われる。 主人公はその行為に疑問を抱くものの、彼女らがそうせざるを得ない悲哀を理解していく。 終盤では二人の成長が描かれ、胸に迫った。 無自覚な差別発言をする人間に主…

『私は告白する』『デモリションマン』

アルフレッド・ヒッチコック監督『私は告白する』(1953) 守秘義務を守っているのに、庭師から罵倒されながら歩く神父のトラックバック。 無罪判決が下されるものの、周囲から疑念の目を向けられながら歩く神父のトラックバック。 批判されながらも、黙…

『2300年未来への旅』『ホワット・イフ…?』E1

マイケル・アンダーソン監督『2300年未来への旅』(1976) 一昨日観た『美しき冒険旅行』のお姉ちゃんジェニー・アガターがヒロイン。 ドームや未来都市のミニチュアや銀ピカのロボットは、現代の感覚だと、レトロ可愛い印象。 奇妙な社会システムを、そうい…

『ノー・カントリー』

コーエン兄弟監督『ノー・カントリー』(2007)

『美しき冒険旅行』『地下鉄道』第10話

ニコラス・ローグ監督『美しき冒険旅行』(1971) 弟はニコラス・ローグの息子。インタビューによると、現場での発案したことで撮られた場面もあるそうだ。 『地下鉄道 ~自由への旅路~』第10話 ついに最終話に辿り着いた。メンタル的になんとかここまで…

『鵞鳥湖の夜』『地下鉄道 』第8、9話

ディアオ・イーナン監督『鵞鳥湖の夜』(2019) 初見のときはよく分からなかったけど、2回目の方がノレた。 カッコイイ画がいっぱい。 繋がりよりも、画を優先したショットの連なり。編集の切れ味も鋭いので、心地が良い。 バイク運転手が首が飛ぶのは…

『私は確信する』『燃えよデブゴン』『地下鉄道 』第6、7話

アントワーヌ・ランボー監督『私は確信する』(2018) 谷垣健治監督 『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』(2020) 『地下鉄道 ~自由への旅路~』第6話 マックの苦悩が胸に迫った。平等に接してくれた白人への信頼と感謝、その息子が子どもの頃に自…

『クイーン&スリム』

メリーナ・マツーカス監督『クイーン&スリム』(2019) 日本未公開の傑作。 『俺たちに明日はない』的な逃避行。 道中で出会う人々とそのエピソードが、それぞれ心に残る。特に好きなのは、二人を見逃す黒人警官。短いやりとりで、上司の白人警官がいか…

『キャッシュトラック』『ダニエル』

ガイ・リッチー監督『キャッシュトラック(原題:Wrath of Man)』(2021) 現金輸送車強奪事件を時制や視点を大胆に移行しながら描く。 ガイ・リッチーらしい映像ギミックは抑え気味だが、その案配が良かった。 ジェイソン・ステイサム主演なので、『ロ…

『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』

スティーブン・スピルバーグ監督『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997) Tレックスが船でアメリカ大陸に上陸する。黒沢清監督曰く、「あれは『ノスフェラトウ』」

『ザ・ブルード』『地下鉄道 ~自由への旅路~』第5話

デヴィッド・クローネンバーグ監督『ザ・ブルード』(1979)2Kレストア版 手摺についた血の手形。スノードームで穴が空いた壁。走り去る後ろ姿。雪道を歩く3人の少女。ハンマーでボコボコに殴られる先生。「これでもぉ?」。薄い膜をすーっと裂いてか…

『エイブのキッチンストーリー』『ジュラシック・パーク』『地下鉄道 ~自由への旅路~』第4話

フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ監督『エイブのキッチンストーリー』(2019) スティーブン・スピルバーグ監督『ジュラシック・パーク』(1993) 『地下鉄道 ~自由への旅路~』第4話 父から愛を得られないと感じる男。そこで父が平等に接する黒…

『サクリファイス』『地下鉄道 ~自由への旅路~』第3話

近藤史恵『サクリファイス』(新潮文庫) 『地下鉄道 ~自由への旅路~』第3話