『ザ・スーサイド・スクワッド』『ディスコード』『ホワット・イフ...?』E2

ジェームズ・ガン監督『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)

『スリザー』『スーパー!』路線のヒーロー映画。やりたいことをフルスイングでぶつけている感触があり、心地良い。

毒っ気はかなり強い。

笑っちゃうくらい命が軽く捨てられる一方、命の大切も描かれる。相反する二つの軸が平行して保たれる、バランスが理想的。

クライマックスは祝祭感に満ちている。泣ける。

ハーレイ・クインの描かれ方も、過去作と比べて、群を抜いて良かった。期待した『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は、「あまり悪いことをしていない…」という印象で、毒が足らなかった。今回は無軌道さや毒気、信念もそれぞれ強く感じた。華が舞う横スクロールアクションも素晴らしかった。

悪党がちゃんと悪党として描かれている。ブラッドスポートが娘と面会する場面では、ブラッドスポートは万引きした娘口汚く罵る。コミカルなニュアンスもあるので、好意的に受け止められるし、ちゃんとこの男が犯罪者であることが分かる。ウィル・スミスはクール過ぎた。

ブラッドスポートとラットキャッチャー2が疑似父娘関係となる。生きるために盗みをせざるを得なかったラットキャッチャー2との出会いが、万引きした娘の背景を思いやる契機となる。それぞれ相手を救う場面がドラマ上の盛り上がりとなっている。

スピーディーなカメラワーク。クイックパンを多用。荒いテイストを敢えて残している。

 

ニコラス・マッカーシー監督『ディスコード -DISCORD-』(2012)

『ババドック』『ウィッチサマー』みたいな掘り出し物感。

Jホラーの文法を研究した演出が見事だし、変化球もあり、良かった。

ニコールの背後にカメラがすっとより、人物は振り返る。幽霊の視点ということだろう。娘とビデオ通話していると、光が点滅し、娘はニコールの背後に何かを見る。振り返ると、背後の部屋のドアが空いている。暗い部屋に吸い込まれるように、ニコールは進んでいく姿を引き画で捉える。冒頭のツカミとして、巧い。

グーグルマップに歪んだ人物が写る。上半身と下半身が分断され、顔が不明瞭。周囲を調べ、戻ると、人物の肉体は統合され、ある一点を示している。心霊写真描写の変形として良かった。

幽霊を目撃したアニーが逃げる。その瞬間、足のアップがスローになる。次に全身が映り、逃げ出そうとする姿もスローで描かれ、ドアがバタンとしまる。これはJホラー文法から逸脱した、新鮮な 演出。

第2幕で、実家に隠し部屋があったことが判明する。そこには覗き穴。第3幕には意外な展開をみせる。幾つかのピースがカチッとハマり、これはいいツイスト。

霊能者がジャンキーというのも面白い。焦点が全く合わない。

捕らえられた主人公が、髪をパイプに括り付けられる。あまり見ない。ハンガーを武器にして用意し、奪った刃物で髪を切って応戦する。髪を切る行為はキャラクターの変化として描くことが多いが、ここではな拘束からの脱出、被害から反撃という二つの意味が重ねられている。

殺人鬼と対決する場面では、幽霊がアシストしてくれる。幽霊のアシストは霊能者の場面でフリが効いているので、効果的。殺人鬼を倒した瞬間に、ドアが開き光が差し込む。

殺人鬼と主人公は同じ瞳をしている。言及されないが、殺人鬼は実父ということも考えられる。

 

『ホワット・イフ...?』第2話

ティ・チャラがスターロードになる。平和的に解決し、サノスまで仲間になっているのも笑えた。

チャドウィック・ボーズマンの声が聞けて嬉しい。