『流れる』『パルプ・フィクション』

成瀬巳喜男監督『流れる』(1956)

花柳界に生きる女性たちの物語。だが、華やかな場面は一切ない。金に困っている様子がひたすら描かれる。金策を講じてようとして、失敗する。

恋愛の話題は登場するが、絵には映らない。2階に上がるのは、金を払えと怒鳴る男だけ。

田中絹代は女中としてきめ細やかな対応をする。所作が美しい。芸者たちにとって、天使のような存在だが、子供が高熱で失ったことをさらっと明かす。「いつまでわがままを通せる」と呟くとき、背負っている重みを感じる。筋の通った人物で、甘い誘惑も断る。

終盤に女性たちが集まって不満をぶつけ合う。それぞれ立場の異なる者たちの苦しみが露わになる。

口汚く罵った杉村春子が、あっさりと戻ってきて、山田五十鈴に頭を下げる姿は笑った。

最終的に仕事を続けることは出来るが、転職も難しく、これしか稼ぐ手段がないからだ。既に家を売ってしまっているので、もはや売れる物がない。いつか行き詰まるのに、この道を進むしかない悲哀。

第75回 毎日映画コンクール田中絹代賞を受賞した梶芽衣子さんが本作を好きだとおっしゃっていた。

 

クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』(1994)

観るとハンバーガーが食べたくなる。

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