成瀬巳喜男監督『驟雨』(1956)
現代の感覚で観ると、夫の妻に対する応じ方がだいぶ酷く感じる。
妻と姪が盛り上がると、夫は反対意見をわざわざ述べる。一方で自分の話は聞くように求める。自分勝手であることに無自覚。
串カツ屋で始めようと夫の同僚が提案して盛り上がり、妻を囃し立てる。夫はそれが気に食わなくて、むっとする。これは男性にありがちな心理だと痛感した。怒鳴り散らすのではなく、「むっとする」というリアクションが生々しい。
立ったままご飯を駆け込む原節子の仏頂面。
夫婦の復縁を紙風船で描く。見事なアクション。