『キャッシュトラック』『ダニエル』

ガイ・リッチー監督『キャッシュトラック(原題:Wrath of Man)』(2021)

現金輸送車強奪事件を時制や視点を大胆に移行しながら描く。

ガイ・リッチーらしい映像ギミックは抑え気味だが、その案配が良かった。

ジェイソン・ステイサム主演なので、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)、『スナッチ』(2000)でイケイケだった男が、中年になって、こんなに疲弊してしまった、という対比も興味深い。

迷走作『リボルバー』(2005)の精神不安定設定も組み込まれている。

マッチョぶったジョシュ・ハートネットのずっこけ感と、ノールックで悪人を撃ち殺す死んだ眼のジェイソン・ステイサムが最高だった。

 

アダム・エジプト・モーティマー監督『ダニエル』(2019)

幼少期のイマジナリー・フレンドが、青年になった男の前に現われる。

死亡した無差別殺人犯にもイマジナリー・フレンドがいて、それが自分と同じだと分かるところは興味が惹かれた。

ただそれが悪魔となると、ちょっと醒めてしまった。

イマジナリー・フレンドの顔から突起物がうにょーと伸びて、主人公の顔と混じり合うのは良かった。フランシス・ベーコンの絵画のようだった。『ホムンクルス』でああいうのやるはずだった。