『チャッピー』

ニール・ブロムカンプ監督『チャッピー』(2015)

エリジウム』も『チャッピー』も傑作『第9地区』に通じる美点はある。現実社会の貧困をベースにした近未来。ストリート感覚のSFビジュアル。旧作のオマージュ。VFXの質感。

物語の完成度は『第9地区』に比べると、『エリジウム』も『チャッピー』も弱く感じる。スピード感のある展開で、驚きの展開もある。しかし要素はあるが、関係性を構築する描写が足りておらず、プロットのような印象が残る。

例えばニンジャが「悪い父親」として登場するが、「良き父親」に変貌するまでの関係性の変化の描写が足らなかったように感じる。

「肉体を捨て、意識を別の個体にアップデートする」という展開は面白いが、その考えに至る描写が足りていないとも感じた。

キャラクターが多かったのも原因かもしれない。例えば、意識をアップデートするのが、結果的に3人いるが。3人も必要だったのか。