『真夜中のミサ』E4、5

『真夜中のミサ』第4話

ベヴァリーは神父の復活という奇跡を島民に伝えたいと考える。信仰を広めるために利用したいあざとさが透けて見える。

神父はついに吸血に目覚める。ジョーを事故的に殺してしまい、その血を飲む。また日光で焼けてしまうことが分かり、朝のミサへ出席出来なくなってしまう。タイトルの「真夜中のミサ」の意味が分かる。

神父から採血した血液が沸騰する場面。医者の顔を上手手前に捉え、下手奥に血液が配置される。ここでディープフォーカスを使うセンス!

ベヴァリーがあっさりとジョーの死を隠蔽しようとして、少女の父親を招き入れいるのがいい。彼女が物語を突き動かしている。

妊娠の事実さえも消えてしまう。

島民のみなは神父を信奉している。大きな罪を背負うライリーだけが疑念に気づく。吸血鬼を目撃してしまい、襲われてしまう。

吸血鬼の造形は『ノスフェラト』を意識か。人間より長身で、指が細長い。

 

『真夜中のミサ』第5話

恐らくは前回で吸血鬼でなってしまったであろうライリーがなかなか登場しない。やきもきしていると、エリンの前に登場して、海に連れていかれる。そこで時間が遡り、吸血鬼化したあとの展開が描かれ、再び海に戻る。構成が見事。

吸血鬼になった情報の伝え方も面白い。神父が淡々と説明し、その場にべヴァリーも立ち会う。妙に冷静な対応をしているのが怖い。聖書に熟知しているからこそ、引用も多用され、世界観に説得力をもたらしている。

吸血鬼が直接吸血する者は選ばれた者と解釈し、べヴァリーがライリーに嫉妬しているのも面白い。

ライリーがエリンを連れ出したのは、吸血するためか…と思わせておいて、日光を浴びて死に、エリンに島から逃げ出すことを伝えるためだった。海に船で連れ出したのは、逃げられない状況に自分を追い込むためだろう。飲酒運転で人を殺めてしまった罪を償う場をずっと探していたライリーにとっては、ある種の救いのように感じた。

朝焼けとライリーの焼ける体が美し。そしてエンドクレジットにはエリンの絶叫が響く。

認知症だったサラの母は若返っていく。吸血鬼の血を教会で飲んでしまっ者の反応。