『レミ二センス』『MINAMATA』

リサ・ジョイ監督『レミ二センス』(2021)

予告を観て、『インセプション』みたいと思っていたら、ノーランの弟がプロデューサー。

ジョナサン・ノーランとリサ・ジョイが原案を務めるドラマ『ウエスト・ワールド』は好きなので、期待したのだが、消化不良という印象。

終盤で、これをやりたかったのだな、というエモーショナルで美しい場面がある。そこは良かったんだけど、そこ至るまでが、まどろっこしい。

海面が上昇した都市というビジュアルの精度は高いし、面白い設定だが、記憶を巡る物語には有機的に結びついていない。

アルタード・ステーツ』みたいな装置。記憶が収録されたカード。美術の完成度は高い。

『ウエスト・ワールド』からはダンディ・ニュートン(メイヴ)、アンジェラ・サラフィアン(クレメンタイン)が出演。

 

アンドリュー・レヴィタス監督『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)

期待していなかった、良かった。

日本人の俳優も全員良かった。真田広之浅野忠信、岩瀬晶子、加瀬亮國村隼、皆良かった。『乱暴と待機』で最高だった美波は、本作でも素晴らしかった。

脇役もきちんと日本人をキャスティングしているのだろう。発音に違和感を覚えることはなかった。

ジョニー・デップを久しぶりにスクリーンで観た。奇人役が多く続いたので、人間を演じてくれるのが嬉しい。

「問題を外部に伝えるために決定的な写真を撮る」というドラマとして構築している。被害者の実態を映さなければ被害の深刻さが伝わらないが、それは被害者に無理を強いることである。その矛盾に対する苦悩が描かれていたのが良かった。病院で患者を撮る場面ではアイリーンが患者の希望に寄り添うようにユージンをたしなめる。同意のない撮影はしないように配慮している。だから、ユージンが被害者を撮らせて欲しいと訴え、それを村人が受け入れる場面には感動がある。

1本の映画としてまとめるために脚色している部分は多いと思うが、納得のいくストーリーだった。