ナチとワールドカップ

デニス・ガンゼル監督のドイツ産サスペンス「ザ・ウェイヴ」@DVD

大学の授業で独裁主義を実践してみたら、暴走しちゃってあらタイヘンっていう実話を基にした映画。
独裁主義を実践する先生はもともとはパンク好き。本当は無政府主義の授業を担当したかったんだけど、生真面目なじーさんに奪われて、仕方なく独裁主義を担当。
自分を独裁者にみたてて、生徒たちに独裁主義をロールプレイしてみる。
「ベンガー様」と呼ばせてみたり、行進をしてみたり、同じユニホームを着させてみたり。
冒頭ではラモーンズを聴いていた主人公も気がつくと崇拝される気持ちよさに酔ってきちゃう。
生徒たちは独裁主義のグループに属する気持ち良さにハマっていく。
ロゴマークを考えて、街中にロゴをスプレーで刻んでいくシーンはわくわくする楽しさに満ちている。HPをつくったり、集会を開いたり、あいさつのポーズを決めたり、共通の仮想敵をつくったり、「独裁主義の一員になることは楽しい」という恐ろしさを描いている。
弱小チームがナチズムの真似事をやったら強くなる。同じ服を着た集団が同じチームを応援するワールドカップをナチズムと同一線上に配置してみせるのだ。


デニス・ガンゼル監督は本作で評価され、ヴァンパイア・ホラー「We are the Night」を監督。
主演は「パフューム ある人殺しの物語」のカロリーネ・ヘルフルト