人工内耳

人工内耳を巡る聴覚障害を抱える家族を追うドキュメンタリーを観た。
ある夫婦が、聴覚障害のある子どもに聴覚を補助する人工内耳を埋め込み手術するべきかどうか悩む。
周囲の聴覚障害者たちは強烈な拒否反応を示す。「聴覚障害者への差別心の表れだ!」と非難。祖母は「孫は耳が聴こえるようになったら、聴覚障害のある自分を軽蔑するのではないか」と泣き出す。
人工内耳によって聴覚障害を解消したいと訴える娘に対して、聴覚障害のある父は「自分が否定された!」とショックを吐露する場面がある。「ありのままでいい」と既に障害を受容している人にとって、テクノロジーによって障害が解消されてしまうことが逆に、アイデンティティの揺らぎになってしまう場合があるのか。この視点は自分にはなかった。