『アフガン零年』『絶滅動物(VACATION)』

セディク・バルマク監督『アフガン零年』(2003)

デモを行う女性たちが放水を浴びせられると、虹が浮かぶ。撮影当初の題名は『虹』だった。劇中でも老婆が虹にまつわる昔話をする。それは少女に髪を切らせ、少年の振りをして働かせるためだ。

少女が悲劇的な状況から抜け出し、虹が架かる結末になる予定だった。

主人公の少女を演じたマリナ・ゴルバハーリは撮影中に、戦争中の記憶がフラッシュバックし、何度も涙を流し、撮影が中断することもあったそうだ。それを目にした監督は絵空事のような結末を描くことは出来ないと判断し、悲劇的な状況から抜け出せないまま終わることになった。

そこで少女が思い出すのは、牢獄で縄跳びをする姿だ。牢獄の方がまだマシだった、ということか。

先日観た『生きのびるために(ブレッドウィナー)』(2017)と設定はほぼ同じ。あまりにそのままなので、ちゃんと権利を買っていたりするのだろうか。

こちらは監督も出演者も当事者なので、当然ながら生々しさが強い。

 

副島正紀監督『絶滅動物(VACATION)』(2020)