『光と影』『罪と罰』

東海テレビドキュメンタリーの世界@ポレポレ東中野

『光と影〜光市母子殺害事件 弁護団の300日〜』(2000)


弁護団の主張に関しては納得できないところもあるのだが、弁護団へのバッシングは過剰。日本社会の恐ろしさを感じる。
加害者少年の内面を冷静に見つめる作業は大切だ。感情的になってはいけない。理性的に分析することには意味がある。


罪と罰 〜娘を奪われた母 弟を失った兄 息子を殺された父〜』(2009)

犯罪被害者の遺族と死刑に関するドキュメンタリー。
肉親を失った被害者3人が登場し、加害者に求める償いは異なる。「人殺しは死刑。被害者遺族は全員そう望んでいる」といった思い込みが突き崩される瞬間がある。

印象的なのは弟を保険金殺人で失った男性。
希望通り加害者の死刑が確定する。男性は加害者と面会を続けるうちに、「命は、死で償えるものではない。生きて償ってほしい」と考えるようになる。法務大臣に死刑を待ってほしいと訴えるが、刑は執行される。
男性は加害者は許したわけではない。
ただ、死刑が正しい償いではないと感じたのだ。
償いとは何のか。

男性は死刑制度に疑問を抱き、被害者と加害者を繋ぐ支援を行い、死刑判決を受けた加害者と面会するようになる。この活動が理解されず、バッシングを受ける。
被害者遺族がどういう償いを求めようと自由である。
しかしそれを許さない人間がいる。「被害者遺族はこうすべき」という押しつけ。バッシングにまで至ってしまう怖さ。


東海テレビがキー局ではできないドキュメンタリーを生み出し続けられる理由
http://rollingstonejapan.com/articles/detail/26936/6/1/1