09年ベスト&ワーストワン
ベスト
「グラン・トリノ」
超越的な素晴らしさ
アンヴィル!夢を諦めきれない男たち(監督:サーシャ・ガヴァシ)
現実版「レスラー」。「レスラー」とは異なる着地。夢を諦められない「どうしようもさ」に感涙。
エスター(監督:ハウメ・コジェ=セラ)
オーソドックスなホラーを現代にやる心意気と作品の強度。ゴス娘の悲哀。
チョコレートファイター(監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ)
ジージャーの才能とそれを育てたタイ映画業界。アクションをしたあと構え直したときの美しさ。奇妙な語り口に違和感を覚えつつ、妙に惹かれた。
寝取られ男のラブ♂バカンス(監督:ニコラス・ストーラー)
ボンクラ男子の真摯な純愛。愛する人のためにつくったホラーミュージカル。
トランスフォーマー/リベンジ(監督:マイケル・ベイ)
キチガイじみた異様なテンション。
狼たちの死刑宣告(監督:ジェームズ・ワン)
立体駐車場のワンショット長廻し。ベーコン兄貴のイっちゃってる眼。
ディセント2(監督:ジョン・ハリス)
闘い、血まみれになるほど魅惑的になる女性。足手まといの男性を女性が3人がかりで手首を斬って、崖から突き落とす判断の正しさ
マーターズ(監督:パスカル・ロジェ)
後半部の展開はどーかと思うが、観客の興味を力づくで引っ張りつける前半部の語り。
ワーストワン
重力ピエロ(監督:森淳一)
日本版「ダークナイト」ができたはずなのに、原作最大の魅力を削いだ映画版「MW」にも失望したが、渡部篤朗がヒース・レジャーに匹敵する「純粋悪」を創造したのにもかかわらず、ぞいざいに扱った「重力ピエロ」には「バカじゃねぇーの」と義憤を感じた。
復讐を果たした若造二人がなんの報いも受けず、「人を殺しちゃってけど、アイツは最低な人間だし、オレたちも悩んだんだからオッケーだよね」と爽やかに語って終わっちゃう神経は信じがたい。「狼たちの死刑宣告」のベーコン兄貴が受けた復讐の報いを見なさいよ。
ミステリーとしても、本筋に無関係なキャラクターが真相をだらだら語る構成もどーかと思った。