牛乳王子:ショートピース!仙台短編映画祭2009

拙作「牛乳王子」を上映して頂いたショートピース!仙台短編映画祭2009に行ってきました。


初仙台。
会場であるせんだいメディアテークはでらかっけー建物だった。建築家・伊東豊雄のデザイン。
ゲスト控え室で打ち合わせ。ゲストコメンテーターの『犬猫』『人のセックスを笑うな』の井口奈己監督と初対面。作品は既にDVDでご覧になっていた。「ホラーなんて嫌いなんじゃないか」と心配していたが、好意的に観てもらえたようでした。ラップのときの加藤くんが魅力的、エモエモのとこが笑えた、ラストシーンが良かった、とのこと。「ホラーなんてみないかと思っていました」と話すと、女友だちと「死霊の盆踊り」を見たことがあったり、ホラーっぽい企画を進めたこともあったりしたらしい。話しやすい方だった。『人のセックスを笑うな』の裏話だとか、『地獄の警備員』の現場の様子だとか、80年代の自主映画事情を聞く。面白かった。
スタッフは温和で明るい方々。いい雰囲気。 選考の際、周囲に疑問を感じられつつも、『牛乳王子』を推してくれたスタッフがいた。それも若い女性!でした。感謝。
マスコミ試写では女性記者の評判はあんまり良くなかったらしい。男性記者には比較的ウケが良かったらしい。


□Hプログラム「新しい才能に出会う」
蝉の費やす7年(監督:和田宗衛門)
Snow lesso(監督:外山光男)
牛乳王子(監督:内藤瑛亮
少年不載花(監督:ツァイ・チェンシュ)


『蝉の費やす7年』はモノローグにすっとぼけたユーモアがあって面白かった。シネフィルが嫌いで、『極大射程』のマーク・ウォールバーグの良さを彼らは知っているのか、とか。今いちばん会いたい人は中原昌也、とか。笑った。
『Snow lesson』は繊細なアニメ。外山さん自身が音楽もつくっているそうだ。多才だなぁ。『牛乳王子』のあとに口直し的に上映された。と思う。
『少年不載花』は天パーの青年がストレートパーマにしたら何か変わるかと思って、ストパーをかけるが何も変わらなかったっていう話。
『牛乳王子』上映中、客席は静かで心配した。ドン引きされていないだろうかと不安になる。近くに坐っていた井口さんはケツを刺されるシーンでクスクス笑ってくれた。
上映後にトーク。約50分、結構リラックスして話せた。トークでのウケはまずまず。子どものころホラー好きの母に『チャイルドプレイ』を勧められて、ホラーを好きになったエピソードが特にウケた。司会の高橋さんが明るい方で、よく笑ってくれたので、話しやすかった。
上映後、女性客数人に声をかけられた。愉しんでくれた方もいたようです。女性にはなかなか受け入れてもらえない作品なので、嬉しい。
前日Gプログラムで講義、そしてヒゲの未亡人のライヴをやった岸野雄一さんに会う。岸野さんには『牛乳王子』の音楽についてアドバイスをもらった。カットしてしまった保健室のショットを褒めてくれたことを思い出す。
『牛乳王子』の出演者・青山みそのさんがいらっしゃっていたので、一緒に昼飯を食う。仙台だから牛タンを食おうと決め、店をさがす。時間帯的にランチタイムが終わっていて、なかなか店が見つからなかった。井口さんも牛タンを食べようとしたが店が見つからず、豚丼を食べたらしい(笑)僕は運良く発見でき、昼間からビールを片手に、牛タンを食べた。マジうまかった。


□Iプログラム「今ここにある物語〜進化する才能〜」
チャチャチャ(監督:佐藤良祐)
PASSION(監督:濱口竜介
遅れて入ったので『チャチャチャ』を見逃す。『PASSION』を途中から。怒涛のディスカッションに圧倒される。止め処もない言葉が画面に緊迫感を生んでいる。
岡部尚さんが出演していた。今年参加した大工原組の作品にも出演されていた。岡部さんの芝居、好きです。


□Jプログラム 市川準ふたたび
晴れた家(監督:村松正浩
トーク向井康介×山本浩司
市川準宮沢りえから手紙を貰って、リアルに嬉しそうな顔をして、メイキングのカメラが寄ると、手紙をさっと台本で隠したとこが良かった。
有名監督でも現場ではせっせと走っていたりするんだな、と発見があった。


□交流会
チラシのイラストを担当したいがらしみきおさん登場。娘さんが『人のセックスを笑うな』のファンで、DVDにサインを貰う予定だったが、DVDを家に忘れちゃった、と困っていた。


□2次会
山本浩司さんの近くに坐る。「アイアンマンは最高」「スタートレックヘルボーイトランスフォーマー、今年の上半期は豊作」「昨年のベストはミスト」といった発言にぐっとくる。
和田さんの次回作は加護亜衣主演らしい。羨ましい。
和田さんは会社員で、会社で映画を撮るために新部署を立ち上げたらしい。すげー行動力。見習わなきゃ。外山さんはNHKから依頼を受けてアニメを制作しているらしい。
向井康介さんにも話したかったが、席を移動する勇気がなかった。いくじなし。帰りにほんの少しだけ話す。


□ホテル
小者なので交通費やホテルを用意してもらったことにウハウハな気分になる。
興奮してなかなか眠れなかった。
朝食が豪勢だった。


□Kプログラム「映画に愛されたふたり」
キッド THE KID(監督:チャーリー・チャップリン
最高。笑ったし、泣いた。
子役が可愛い。
実の母と子がお互いをそうとは知らずに再会したショットにぐっとくる。
隣に坐っていた小学生がケラケラ笑っていた。子どもも喜べる作品っていいよね。こうゆうのやりてぇーな。


□仙台オクトーバーフェスト
飯屋をさがしてブラブラ歩く。錦町公園でやってた「仙台オクトーバーフェスト」っていうビールまつりにフラッと入る。そこで『チャチャチャ』の佐藤良祐監督と佐藤組スタッフと偶然会う。一緒にビールを飲む。
1杯1000円もするビールだが、でらうめー。デュンケルヴァイツェンを飲む。特殊なグラスで、グラスの補償代1000円ってのがあった。ドイツ人の音楽隊が演奏。CMみたく「あいぷろーじゅ、あいぷろーじゅ」って唄って、乾杯した。
4年前に「新しい才能に出会う」へ出品した佐藤さんと「仙台映画祭っていいよね」と話す。4年前のゲストコメンテーターは篠原哲雄で、全員酷評されたこととか、CO2に入選したときのこととか、を聞く。
僕の準備中の新作『先生を流産させる会』について話していたら、佐藤組のスタッフの知り合いが、事件があった地域で中学の教師をやっていたことが判明。取材したい!と相談。まさかの収穫。出会いって大切ね。


□Mプログラム「永遠的楊徳昌エドワード・ヤン」」
光陰的故事(監督:タオ・ドゥツェン/エドワード・ヤン/クー・イチェン/チャン・イー)
ちなみに初めてのエドワード・ヤン映画。
日本未公開、未DVD化。
少女が性に目覚める話。
少女がチャリでくるくる回るショットが良かった。
下宿をはじめた若者の上半身をガン見するショットには驚いた。顔を画面外に追いやり、肉体だけを切り取ったショットが繰り返し映される。「どんだけ男の体を見てんのよ!」と驚く。女子ってこんなに男の体が好きなのかしら。
少女が若者を意識し始めると、以前遊んでいた少年とは遊ばなくなる。少年は一人で自転車を練習する。少女が歩いていると、暗闇からフラフラしながら自転車を漕ぐ少年がやってくるショットは泣けた。

再見 楊徳昌 FAREWELL EDWARD YANG
一周忌を機に作られたドキュメンタリー。病床で描き続けた未完のアニメ「追風」の一部も見れる。
日本初上映。
台湾ではエドワード・ヤン以前は会社に決められたカメラマンが撮影するもので、エドワード・ヤンが「このカメラマンとやりたい」と提案したことが革新的だったって話に驚く。



いい映画祭だった。
少ないスタッフでこれだけのデカイ映画祭を運営していたことに感銘を受けた。プログラムの最初にやるスタッフのコメントから「映画、好きなんだなー」って気持ちが伝わって、いい感じ。
『牛乳王子』という嫌われ者を、チャップリンエドワード・ヤンも上映する映画祭の仲間に入れてくれて、光栄。
また参加したいなぁー。
いい映画、撮ろう。