『ナルコス:メキシコ編』

『ナルコス:メキシコ編』



『悪の法則』『ボーダーライン』等で登場したあのヤバいメキシコ麻薬カルテルの黎明期が描かれるのだから、ヤバいに違いない。
と高い期待値で観始めたのもあって、物足りなさはあった。
いちばん大きな問題は、シーズン1・2で描かれたパブロ・エスコバルがヤバ過ぎたこと。
シーズン3のときも感じたが、パブロ・エスコバルを越えるエピソードが現実にないので、ハイレベルなショットを目にしても、物足りなく感じてしまう。
「史実に沿って麻薬ビジネス描く」ってコンセプトをちゃんとやってて、だからこそシーズン1・2は最高で、だからこそシーズン3・4は面白いけど物足りない。史実に沿ってフィクションを描くことの美点と難点を感じている。
例えば主人公の非情な途中退場は史実だからこそできる大胆な展開だが、そのあとカタルシスを得る展開はないのは史実に沿ったシナリオゆえの問題。

とはいえ、全十話数日で観てしまう魅力はある。
アメリカ人が「メキシコ人に組織的な犯罪ができるはずがない」ってバカにしているところとかおかしい。結果的には厳密な組織げ形成され、アメリカは大きな打撃を受けるのだから。『オザークへようこそ』ではアメリカ人の犯罪者が非合理的な行動をして、合理的な麻薬カルテルが困る展開があるのも皮肉。
メキシコの犯罪者をバカにして、組織的なビジネスを信じなかったアメリカ人が、砂漠の中に広大な大麻畑が広がっているのを目撃して、「マジかよ」ってなる場面は必見。
予算はアップしたので、ビジュアルは充実している。
自分はラファが好き。大麻で儲けていたのに、時流に負けてコカインビジネスをはじめたボスにムカついてムチャクチャな行動を起こすものの、自分自身がコカインにハマって、依存症になってしまう。