『her/世界でひとつの彼女』

スパイク・ジョーンズ監督『her/世界でひとつの彼女』(2013)

甘くて痛い記憶のなかで主人公を苦しめる元奥さんはルーニー・マーラ、微妙な距離を保ち続ける友人の妻はエイミー・アダムス、撃沈するデート相手はオリヴィア・ワイルド、そして心を許すAIの声はスカーレット・ヨハンソン。女優のチョイスがサイコー。
AIと主人公が会話しているパートは殆ど主人公の顔しか映らない。ホアキン・フェニックスじゃなきゃ成立しない。
切ないけど、ちゃんと笑える温度感。
人工知能との恋愛を安易に主人公の弱さと断罪せず、人間が他者を求める根源的な本質を追及している。
ラスト、人工知能が真似した主人公の癖である息遣いを聞かせるとこがよかった。
人類より高度になった人工知能が、人類を殲滅したりせずに、さらに知的冒険を続けるのは、成る程なと思った。
柔らかい光に包まれたビジュアルと、アーケイド・ファイアの劇伴は幸福な融合。気持ちいい。


詩人・宮尾節子「明日 戦争がはじまる」
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