『ホドロフスキーのDUNE』

フランク・パヴィッチ監督『ホドロフスキーのDUNE』(2013)

ホドロフスキーの話術が巧みで、身振り手振り話している姿を見ているだけで引き込まれる。
ホドロフスキーが「魂の戦士」となるメンバーを集めていく過程は『七人の侍』みたいでわくわくする。
特にダリとの交渉はファンタジックで楽しい。メッセージを書いたタロットカードを手渡す洒落た作戦で気を引くが、ダリが「君は砂の中から時計を見つけたことはあるかね?」と問われ、芸術家らしい返答しなければ気に入られないと焦り、四苦八苦する。どうにか切り抜けても、「ギャラは時給10万ドル」「キリンを生きた燃やせ」と無茶苦茶言い出す。いかに立ち回れば交渉が成立するのかと悪戦苦闘する姿は、映画に限らず、労働を経験した人間なら誰もが共感すると思う。
デヴィッド・リンチ版の感想も正直過ぎてサイコー。同業者の失敗を目にして元気が湧くってリアクションは健康的なことなのね、と安心した。
未完ながら、多くの影響を与えたところは感動的だ。完成しなくても、作品を作るために闘うことは大きな意義があるんですね。勇気を頂いた。