『手紙は憶えている』

アトム・エゴヤン監督『手紙は憶えている』(2015)

完全に騙された。見事な構成。サプライズにテーマ性があり、ちゃんと「加害者に罪を突きつける」という行動原理が貫かれている。

復讐者が認知症老人であるがゆえに緊迫感が増す。入国審査でのカバンチェックやショッピングセンターのブザーといった、日常的な場面もサスペンスフルに機能。

三番目の男との、突発的なトラブルも意外性があって面白い。主人公の正体が分かった上で思い返すと、皮肉を感じる構成も巧い。