『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』

ユン・ジェホ監督『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(2016)

北朝鮮女性Bが家族のために出稼ぎをしたところ、騙されて中国の貧しい農村に嫁として売り飛ばされてしまう。
面白いのは、彼女がはじめは憎んでいた中国人男性を愛してしまうところ。
中国では身分証がないBはまともな仕事に雇ってもらえない。そこで生活のために「脱北ブローカー」になるのだ。まさに自分が売り飛ばされた行為で仕事をする。

しかし北朝鮮には残してきた息子と夫もいる。
彼らを脱北させ、さらには自らも韓国へと渡る。

その行動力と逞しさには圧倒される。
Bがバイクに乗って走る姿が何度も写されるが、その姿が頼もしくて、格好いい。

韓国では安定した生活を送れる。中国での貧乏生活に比べたらずっとマシである。
でもBは愛する中国人男性との生活を求める。韓国籍を手に入れたら、中国人男性と正式に結婚ができるのだ。
息子の一人は中国人男性との結婚に反対する。
夫はBの自由にすればいいと決して責めない。
母として、妻として、女として、幸せはどこにあるのか。

脱北の貴重な映像もあるし、脱北者の韓国での扱われた方も分かる。