『この世界の片隅に』

片渕須直監督『この世界の片隅に
(2016)
とんでもない傑作でした。
怒涛のスピード感で展開するが、常に穏やかな空気が流れている。作り手の優しさが全体を包んでいるかのように感じる。
戦争はのほほんとした日常の延長線上にある。戦争コワイとことさらに主張せず、日常をユーモラスに描いているからこそ、戦争の悲惨さが滲む。
監督は戦争体験者ではないのに、相当な調査のすえ、緻密なディティールが描き込まれている。
主人公がとにかく愛らしい。アチャーの表情。能年玲奈の声は最良の選択。