『ミッドナイト・スペシャル』

ジェフ・ニコルズ監督『ミッドナイト・スペシャル』(2016)



テイク・シェルター』『マッド』という名作を撮ったジェフ・ニコルズの新作。
日本公開しなさそーなので、日本語字幕がついているドイツ版BDを購入。

政府とカルト教団から追われながら、超能力を持つ息子を守るお父さんの逃走劇。
カーペンター『スターマン/愛・宇宙はるかに』+スピルバーグ未知との遭遇』って感じ。
ちょー良かった。
静謐とした語り口。愁いを帯びたピアノの旋律。タイトルが出たとこで、これは傑作でしょと確信。
逃走しているところからはじめる作劇が巧い。回想には頼らず、カルト教団や政府、父子の会話から過去が透けて見えるように語っている。背景の説明は極力抑えて、簡潔に進行していく。
お父さんは息子を信じ、息子が求める行き先に向かう。そのためには法も犯す。愛する子どもを信じるているからこその行動であるが、もし目的地に辿り着けば子どもとの別れが訪れる。愛の暴力的なところと、別れを受け入れなければいけない切なさをマイケル・シャノンが繊細に演じていた。