『あひる』

今村夏子『あひる』

文学ムック たべるのがおそい vol.1

芥川賞にノミネートされた一作。
飼育し始めたあひるに近所の子どもが集まる。家が賑やかなになったことを喜ぶ母と父。あひるの体調が悪くなり、病院に連れて行くが、戻ってきたときにあひるは明らかに別のあひるだった。しかし誰もそれを指摘しない。
心理描写をせず、余白を残して淡々と語ることで、不穏な緊張感が常に漂っている。
残酷さと優しさが詰まった傑作。