『ダラス・バイヤーズクラブ』

マジック・マイク』はチャニング・テイタムのサクセスストーリーです。マシュー・マコノヒーが演じた田舎に居続けるストリッパーの元締め役は、主役のバッドな選択肢を示す役割だったと思います。少なくともホン上はそうだったでしょう。ただし映画を観ると、終盤で自作曲を歌い、ケツをだして踊るマコノヒーが素晴らし過ぎて、チャニング・テイタムの選択より、マコノヒーの人生のほうが幸せでしょって思ってしまいます。そう納得させてしまうマコノヒーのパワーはヤバいです。
長大な『ウルフ・オブ・ウォールストリート』において、マコノヒーの出演時間はほんのちょっとです。なのに、作品の世界観を決定づけてしまいます。ここでもマコノヒーが自作曲を披露する場面は魅惑的で、終盤でディカプリオがそれを反復する際には感動を喚起させ、エンドロールでその曲が鳴り響くときにはマコノヒーの偉大さに観客をひれ伏してしまいます。


そんなマコノヒーが主演を務めた作品が、ジャン=マルク・ヴァレ監督『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)です。

端役ながら主役を喰い続けてきたマコノヒーをずっと観ていられるのです。至福の117分が約束されています。
さらに本作では生への執着から端を発した行動の末、社会の不条理と否応なく対決する男を演じる姿を観続けることができるのです。
そりゃ、サイコーだっつーの。