貴族を羨む

『先生を流産させる会』の裏番組って芸大の修了制作展なのか。
オレの映画も映画美学校の修了制作(特別枠だけど)だから奇妙な組み合わせだ。


芸大の機材や設備って充実してて羨ましかった。
芸大に比べたら、ウチらの学校って泣きたくなるくらい貧相なのよ。
持っている機材の値段が一桁違うし。
そもそも芸大には当たり前にあるような機材がウチらにはなくて、借りなきゃいけないんだよね。
てことはその分、機材費が予算からひかれるんだけど、そもそも貰っている予算も遥かに少ない。
『先生を〜』に関しては正式な修了制作からは落選しているから、10万しかもらえなくて、あとは自腹で宜しくって感じ。


設備も素晴らしくて、ウチらのMA室なんて防音が完璧じゃなくて、階段を降りる足音が聞こえるからね。


内藤組スタッフが芸大の制作の手伝いに行ったことがあって
帰ってきたら
「芸大生、貴族っす」
と言っていた。


映画美学校の講師だった黒沢監督も芸大の先生になっちゃったから
こっちでは年に一回講義するくらい。
ウチらの代で、黒沢監督目当てでこっちに入学したロシア人が、「キヨシ・クロサワ、イナイ、ジャナイ!」ってブチ切れて授業に出席しなくなったこともあった。


映画美学校の卒業生が芸大に行くケースも多くて、
なんか予備校みたいになってて。
でも映画美学校って授業料が安いから入ったって貧乏人も多くて、オレもそう。
だから芸大に行くなんて優雅なことはできない。


芸大は修了制作が自動的に一般劇場でかかるシステムになってて、
ウチらは内輪の発表会があるだけで、あとは本人が頑張るしかない。
『先生を〜』を一般劇場でかけるまでの道のりは長かった。


芸大はちゃんと試験受けて合格した人が入っているし、授業料も沢山払っているだろうから、恵まれた環境なのは当然だけどね。


ただ、ウチらは制作環境ではボロ負けだけど、興行では負けない作品をつくるんだと結束を深めたりもした。

貴族への下層民の抗い。




映画情報サイト「ミニシアターにいこう」に一般試写と初日舞台挨拶の様子が掲載されました。
公開直前試写会&トークショー寺脇研氏と内藤瑛亮監督が語る、最凶の教育映画。
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日舞台挨拶—映画初出演の少女たちが撮影後に結成したのは “先生を感動させる会”!?
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