『それでも夜は明ける』

スティーヴ・マックィーン監督『それでも夜は明ける』(2013)

鮮烈なビジュアルを切れ味の良い編集で繋いでいっているが、奴隷の悲痛さを体感させる場面では長廻しをしている。殴打されて黒人が奴隷として扱われることを受け入れざるを得なくなるまでや、奴隷売買の末に母子が引き離されるまで、あるいは白人の身勝手な愛憎の果てに黒人女性を鞭を打つまでをステディカムが追い、首を吊られたままつま先立ちで主人を待つ黒人をロングショットで捉え、救いを待ち望む黒人をアップで撮っている。こういった冷徹な視座が現代人にもこういった差別問題は今でも根深くあることを知らせてくれる。
ダークナイト』みたいな音響を人間ドラマに応用していて面白いなーって思ってたら、ハンス・ジマーだった。