『アンテベラム』『ポラロイド』

クリストファー・レンツ、ジェラルド・ブッシュ監督『アンテベラム』(2021)

予告篇で現代で華やかな生活をする姿と綿花畑で強制労働を強いられる姿が二人一役で演じることが示されている。本編では綿花畑で強制労働を強いられる場面がしばらく続く。なので、「なかなか現代パートが始まらないなー」と、切り替えを待ち遠しく感じてしまった。

黒人奴隷制度にフィクションを交えて描くという意味では、ドラマ『地下鉄道』の方が刺さった。

現代の差別も生々しかった。ホテルのフロントに話しかけても、受付は黒人客だから電話を優先する。ホテルでは隅の席を案内される。露骨に差別するわけではないが、根底には差別意識があり、滲み出る感じ。

仕掛けが分かってからが楽しめた。序盤で小さな違和感だったことが一気に明かされる。『ヴィレッジ』を想記。この構成だから、驚けたのも事実。だが、宣伝で現代パートもあると知って観ると、序盤が長く感じてしまう。

終盤ではブラック・プロイテーション映画に変貌する。主人公はヒロイックに活躍し、差別白人に鉄槌を下す。松明を掲げて歩くハイスピードや、乗馬して斧を振りかざすハイスピードといった、象徴的なカットも登場する。

前半の差別描写が生々しく、リアリティがあったが、ここでリアリティよりもフクション性の高いカタルシスを得る方向に転換する。自分的には好きなノリ。

 

 

ラース・クレーヴバーグ監督『ポラロイド』(2017)

雪がマストな話ではないが、全編雪が降り続けている。積雪も雪国という程ではなく、生活にそれほど支障がないレベルで、異空間過ぎず、リアリティがあった。

ポラロイドを焼いたら、映っていた人も燃えてしまう描写が良かった。

監督は本作の後にリブート版『チャイルド・プレイ』の監督に抜擢。チャッキーのデザインに不満があるが、脚本や演出は良かった。