デレク・ツァン監督『少年の君』(2019)
ポエティックな語り口。正面から据えた役者の顔の説得力。
受験によって、人生の勝ち組と負け組に決定的に別れてしまう。その切迫感は伝わってきた。教室の机の上に積み上げられた教科書。
中盤以降の展開が、いじめ問題と別になっている印象があり、いまいち乗れなかった。しかしクレジットで実話と知り、それなら仕方がないかなとも思った。
濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』(2021)
濱口監督の演出論を開陳していくような、劇中劇の練習場面。
序盤では「?」が多かったのだが、物語が進むにつれて引き込まれていた。「ちゃんと傷つくべきだった」という台詞が心に残った。
三浦透子の死んだような目。感情がわずかに滲み出る瞬間。ラストシークエンスの表情の変化。過剰にならず、抑えた芝居が胸に迫った。
コロナ以前と以降の繋ぎ方も、刺さった。